日本の前国際法廷裁判官、小田滋先生が、「台湾は国家ではなく、中華人民共和国の一部でもない。台湾は主権独立国家でない故、二つの対象国が同時に同意しなければ、台湾問題を国際法廷で審判する事はできない 。台湾占領問題については、研究していないので評論できない」と述べている。


又、軍事政府の終結問題にも触れているので、茲で「軍事政府と戒厳法」に引き続き「占領」と「主要占領権」について参考として述べたい。
 
軍事政府と戒厳法(Military Government and Martial Law)の書籍は1914米国で出版され、著者William E. Birkhimer は第三版で「軍事政府」の行使は何時停止すべきかを明確に述べている。著者は「軍事政府は正式に実効力ある代理方案が決定するまで権力行使は続く」と強調している。
 
事実上、歴史の判決条例からも答案が得られる。 過去、米国とメキシコの戦争後184874日発効の「Guadalupe Hidalgo 平和条約」第五条に「メキシコはカリフォニアを米国に割譲する」と書いてあるので或る人物が「平和条約発効後、カリフォニアに於ける米国軍事政府は終結すべきである」と裁判所に訴訟を提出したが、1853年最高裁で (Cross v  Harrison . 57 U.S.164) 案としての判決で「カリフォニアの軍事政府は管理上の需要と目的で成立したものであり、平和条約発効と言えども、その存在は消えることなく、その領土に国会議定の法案で一般民政府が成立する迄継続存在すべきである」との判定を下している。

同じく戦争案例に1901年、米国最高裁の判決がある。
1898年米国とスペインの戦争後、スペインはキューバを、宙に浮いた不確定割譲(Limbo Cession) にし、帰属に触れていない。これは 1952 年太平洋戦争後のサンフランシスコ平和条約で日本が台湾を不確定割譲(Limbo Cession)にし、帰属無しと同じ状況である。 米国高裁は 1901 年 にNeely v. Henkel  Downes v Bidwell 両案の判決内容に米国、キューバ間の主権関係を提示し、同時に1853年最高裁のCross v. Harrison 案の判例を引用している。


最高裁は「米国とスペインの関係は、其の他の国の関係と同じく、米、スペイン停戦で、パリ条約締結後、米国はキューバを米国が征服した領域と見なす、但しキューバ住民の福祉に基き、キューバを米国の管轄下に置き,将来領土の実質的所有者はキューバ住民に属す。そしてキューバ住民が自主行動を通じて穏健な政府が建立した後、米国はキューバの管轄権を返還する」と判決している。

「軍事政府と戒厳法」の著者William E. Birkhimer は第六章で米国のキューバ占領について次のように分析している。

「スペイン政府が1899年キューバから撤退する以前、米軍事政府は島内に於いて純粋な軍事政府であった。その後、パリ条約でキューバが不確定割譲で帰属先がない故、米軍事政府は独特の軍事占領に転換した。又、米国は主要占領権国の身分であり、キューバ共和国成立前は島内で主権を行使できた。
然し米国は、未来のキューバ民政府の建立に協力することを約定している」。
 
台湾とキューバは同じく征服に依って割譲されたのである。キューバは米国の征服に依ってスペインから割譲され、台湾も米国の征服に依って日本から割譲されている。 その後、キューバはパリ条約で不確定割譲され帰属未定となり、台湾もサンフランシスコ和平条約で不確定割譲され帰属未定となっている。

然し帰属未定であっても、和平条約第23条では米国が「主要占領権国」と確定されている。従って軍事占領の占領国は当地で其の主権を行使する権利があり、その期間を「過度期」或いは「暫定状態」と呼ぶ。但し最も重要な戦争法の鉄則として「占領は主権を移転すべからず」の規定がある。

以上の判例と規定に依れば、目前の「台湾国際地位」は確実に「米軍事政府占領下の領土」であることが判明する。 李登輝前総統が2004 年 10月 8日、台北北門ロータリークラブの講演会で、この様に述べたことは完全に正確であり、台湾目前の「領土主権」は、未だ米国から台湾当局、或いは中華民国に移転されていない。中華民国は1949年、中国共産党に敗れ、国際法で亡命政府となった。台湾を中華民国の領土と考えている国民党は嘗て、台湾は再び「台湾独立」を宣言する必要はないと叫んだが、中華民国が成立したのは1912年であり、当時の台湾は日本領土に属していたことを忘れてはならない。中華民国は今日に至るも台湾の主権を擁していないのだ。


台湾は台湾であり、中華民国は中華民国である。台湾は、中華民国、中華人民共和国の何れにも属していないのが真実である。

作者:林志昇

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